直交表とは Orthogonal Array(OA)

L4直交表の例:L4 は、4行の直交表を示す

2水準の3因子(列)で構成される。全く同じ列は無い。

実験の水準の組合わせにおいて.任意の2つの因子の水準の組合わせが同数回現れるようなわりつけを定めた表。以下の3つの条件を満たす

1.釣合い:全ての列において、各列ごとの出現する水準の数が同じになっている状態

2.直交:どの2列の相関係数もゼロとなっている状態

3.自由度:(行数-1)>各列の自由度の合計

 

直交表には,2水準系,3水準系など多くの種類の直交表があるが、パラメータ設計には混合型を用いることが多い。

このページで用いている記号について

例:  L36(2^11,3^12)   →    L36直交表 (2水準が11因子(列),3水準が12因子(列)調査可能)


2水準系直交表 2 Levels Orthogonal Array

直交表には、いくつかの列の交互作用が特定の列に出現するタイプや複数の列に分散するタイプなどがあり、交互作用を求める実験計画法では前者を用いることが多いが、パラメータ設計では現象解明ではなく、未知の因子に対しロバストな条件を見つけることが目的であるため、後者が使われることが多い。

交互作用が表れる列とは:

任意の2列の同じ行での水準の組み合わせが(1,1)または(2,2)の場合は(1)に,(1,2)または(2,1)の組み合わせの場合は(2)となる(またはその逆)の列は、任意の2列の交互作用が表れる列で、その列の(1),(2)の工程平均から交互作用を求めることが出来る。

Paleyの直交表 Paley's Orthogonal Array

L12,L20,L24,L44,L60など4の倍数の大きさの一部は、Paleyにより提案された方法で直交表が作成されるものは特定の列に交互作用が現れにくい。

品質工学では、直交表は主効果を求めることを優先し、交互作用の有無は確認実験で確認するため、Paley型直交表は品質工学では有用である。

作成方法は「入門MTシステム(日科技連 立林和夫編著)」に詳しい

 

同じサイズの直交表でも、作成方法から異なる性質の直交表が複数存在する場合がある。

複数のタイプが存在する場合は、Paley型など、パラメータ設計として使いやすいものを優先して選び掲載している。

混合系直交表 Mixed Levels Orthogonal Array

2水準や3水準など、多水準が含まれる直交表で、特定の2列の交互作用が他の列と部分交絡するものが多い。

ロバストパラメータ設計(Robust Parameter Design)では、交互作用を積極的に活用することで安定性のある水準を選択できる。

交互作用の大きさまでも特定したいなどの現象解明には向かない。


近直交表(NOA) Near-Orthogonal array 殆直交表とも呼ばれる

自由度の不足はないが、各列間が完全に直交していない直交?表。 デバッグでの直交表利用の場合は問題なく利用可能。

多水準作成や実験内容に対しちょうど良い直交表が無い場合には利用できるが、主効果を正確に求めるには補正が必要。

その計算には知識が必要で、誤差の影響が主効果と交絡しやすい。

ダミー法や列が余った場合の扱いは注意が必要。

過飽和型直交表(SOA) Supersaturation-Orthogonal array

自由度が不足の状態で、当然、各列間の主効果の交絡はあり、完全には直交していない直交?表。

実験数以上に多くの因子と水準が調査可能であるが、主効果は正確に求められないがスクリーニング実験やデバッグでの利用には効果的。

欠番直交表 Missing Orthogonal array

デバッグを効率的に行うため、松坂氏(松坂ティーエムコンサルタンツ)により提案された。

直交表は2因子間の水準の組み合わせは100%網羅されている。しかし、L36のある9行をもちいるだけで網羅率は85%あり、4行だけでも50%以上を網羅することが可能である。それにより、網羅率/テスト数でのテスト効率は飛躍的に向上する。

 

テスト回数の制約や、初期段階でバグを早く検出したい場合は、最も網羅率が高くなる9行あるいは4行を優先して行うことで、バグを早く検出できる可能性が高まる。

パラメータ設計においても大きな主効果が重要なので、多くの制御因子を含めた調査ができるため、効率的な改善が期待できる。