直交表の役割

L18直交表を用いると2水準が1因子と3水準が7因子までを調査できる総当たり実験を行うとすると4,374通りとなってしまうのが、たった18回の実験で調査できる。

しかし直交実験は実験数の削減が主目的ではない。

もし、交互作用が無いとわかっているなら、1因子実験をサンプル1個で繰り返せば、ほぼ同じ実験数で済んで最適条件が求まるはずである。

 

1因子実験だと…

 まず、全因子を第1水準に固定しテストする。次に第1因子だけを第2水準に変えテストし、良かった方に水準を固定する。次に第2因子を第2水準に変えテストし、よくなるかどうかを調べる。これを繰り返すことで最適な水準を16回で見つけることができる。ただし交互作用がなければ。

しかし、主効果すらわからないのに、実験前に交互作用の有無は分からない。

 

直交表実験の目的は、特性値の加法性のチェック。制御因子の水準は最終的には固定するので、制御因子間の交互作用のチェックは重要ではない。

研究室での実験の利得が、下流条件(現場や市場)において再現するかどうかを検査するために直交表実験を行う。

 

信頼性の向上:L18では、1つの因子の水準の効果の調査に18個のサンプルで評価している。 逐一実験で各因子に18個のサンプルを作成した場合は144回の実験が必要でそれに匹敵する。

 

交互作用の調査:できるだけ主効果の交互作用が小さい方が良いが、最終的には水準は固定するので交互作用の大きさ求めてもあまり役には立たない。交互作用の有無は確認実験で確認する。

 

安定性の評価:さらに重要なのは、1つの因子を調査する時に、それ以外の因子の水準を変えていること。直交表で得られた要因効果図は、他の因子の水準が多少変わった場合でも成立する平均的な効果を示す。 自ずと安定して良い条件が選ばれ易くなる。 多くの因子が入った直交実験は外側にノイズを取らなくても良いとも言われる。

 

ノイズとの交互作用:

さらに安定性評価のために、積極的に外側にノイズを割り付けているのは、制御因子とノイズ因子との交互作用を調査し、ノイズに強い条件を選択するためである。制御因子とノイズとの交互作用が無いと改善できない。 その交互作用を効率的に評価するのがSN比。

 

直交表と自由度:調査できる因子の自由度の合計は、直交表の大きさで決まり、直交表の大きさ(行数)-1が最大である。

例えば、L8では2水準の因子が7つまで(2-1)×7=7。  L9であれば3水準の因子が4つまで(3-1)×4=8。

L25では5水準の因子が6つまで (5-1)×6=24。

パラメータ設計では、ロバストな水準を選択することが目的であり、水準間の効果やモデル化が目的ではない。

したがって、制御因子間の交互作用を調べるために直交表の列を空けるという無駄なことは行わず、多くの因子を取り上げることを優先する。

最終的に、最適な水準に固定するので、交互作用は合っても構わないし、交互作用が無いと安定性の改善はできない。