オンライン品質工学(On-Line RQE)

生産工程においては、さまざまな検査が行われるが、なぜ検査をするのか?

 

検査の目的とは?

  不適合品を発見すること。 不適合品を発見しなければ、検査は無駄だったことになる。

  不適合品を発見することで、利益がうまれる。

 

ある検査の例で、ある製品で1回あたり20円かかる検査があります。もし検査した製品が良品だった場合、検査しなくても良かったので20円損したことになります。

 

 もし不良品だった場合は、その場で修正費用500円が発生しますが、客先で発見された場合は補償や修理などで5,000円が発生するとすれと、検査で不良品を見つけた場合の利益は4500円ということになります。

臨界不適率

この場合、ある不適率を超えた場合は検査を実施すべきで、低い場合は無検査のほうが良いことになります。この不適率を臨界不適率と呼びます。


フィードバッグ制御方式

 加工後の品物の特性値を調べ、その値が目標値からずれていれば、それ以降の品物の特性値が目標値に近づくように

 加工条件を修正する。

 特性値を調べる経費、調整のための経費、品物のコストなどから、その方法はバランスをとる必要がある。

 

定期診断と定期交換方式

 工具の折れや破損など、突然故障が発生するような工程では、定期的に品物を調べることで、

 不適合品が作り続けられることを 防止する。

 この場合も特性値を調べる経費、工具交換の経費、品物のコストなどから、その方法はバランスをとる必要がある。

 

適応(フィードフォワード)制御方式

 選択勘合など、相手に応じた制御が必要となる場合。ベアリングとリテーナーのような選択勘合では

 何種類に分類すれば よいかは品質とコストの関係から決められる。

生産スピードの向上が重要

 

 品物のコストは間接費コスト(開発費、営業費、本社経費など)+製造コストで、その間接費はかなり大きな比率を占める。

 したがって、重要なのは生産スピードの向上であり、これにより間接費と製造費の両方とも削減できる。

 材料費の削減では、製造費の一部にしか効果が無い。 社長の経費を下げることが最も大切。

予防交換(定数交換)方式 Preventive maintenance

工程の品質管理コストと品質による損害の合計を最小にすべきです。

一般に切削工程などでは頻繁に抜取り検査が行われています

 

それは、工程に多くの変動が発生しているためです。

 

日毎の変動、作業者の変動、工具の変化、気温などの環境、素材の変動など

その中で重要な理由の1つに工具寿命による不適合の発生があります。

 

一般に工具はある決められた時間や処理数によって交換がなされる定数交換方式があり、

その合理的な決め方をオンライン品質工学で示しています。

 

ある切削用チップで旋盤切削している工程において、加工中に刃物が欠けることで不適合品を多く作り出してしまいます。したがって、作業者は一定間隔で製品をチェックしてチップの欠けを検査しています。検査頻度を増やすと不適合品を減らすことができますが、検査費用が増加します。

 

また、刃物などの工具では寿命前での定数交換を行いますが、高価な工具では寿命ぎりぎりまで使いたいのでその定数は大きく設定しがちですが、定数前に故障する頻度は高くなります。 

最適化のためには以下のパラメータによる損失Lを最小にする経済的なバランスが重要です

A: 検査による1個あたりの損失金額

B: 一回あたりの検査費用

C: 1回に発生する維持管理費 工具の交換に要する費用

u: 平均故障間隔 (平均故障寿命)

l: 検査によるタイムラグ

n: 検査間隔 何個おきに検査を実施しているか?

N: 1ヶ月の生産量

u’: 工具の定数交換間隔

C’: 定数交換による工具交換費用

p: 工具交換前に故障が発生する確率


フィードバック制御工程 Feedback control

加工工程などにおいて、製品の管理寸法を調べ、

もし目標からある程度ずれている場合は調整する工程での最適化

修正費用が品質による損失額に対し、安ければ修正頻度は増やすし、高ければ頻度は減らす。

修正すべきかどうかの検査も費用とのバランス。

それらを合理的に最適化する方法を示しています。